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蒼の月・碧の星の雫3

「哲平〜、紫〜、お待たせ〜」

フワフワのオムライスとサクサクのコロッケがテーブルに運ばれた

「わあ!くまさんだ〜」

オムライスにはケチャップでテディベアの顔が描いてあった

真純達にとってテディベアは家族の絆を意味する特別な物だ

「ママの指輪の熊だね?」

「あ、ホントだ〜!おんなじ、くまさん!」

「ふふっ、可愛いでしょう?」

ハルカの左手の薬指には健人から贈られたエタニティリングと由依から贈られたファンシーリングが並んで嵌められている

「うん、かわいい〜」

「ホラ〜皆ぁ、冷めない内に、食べて食べて!」

「「いただきまーす」」

真純に勧められ子供達が声を揃え両手を合わせてちょこんと頭を下げる

それを見て大人達も同じ事をして食べ始めた

「あ、美味しい!」

「ん、おいし〜ね」

こんなに賑やかな食卓は本当に久し振りだった

「あれ?おばあちゃんは、指輪をしてないの?」

哲平が真純の手を見て首を傾げた

「うん、おばあちゃんのリングはこれ」

真純は自分のペンダントを指差す

「あ!これも熊だね?」

「そう、熊の『マコちゃん』だよ〜」

「おばあちゃんのも、可愛いね」

ハルカはふと最初は燥いでいた紫が段々と静かになり表情も曇っているのに気が付いた

どうしたのか声を掛けようとした時

「哲平〜、お弁当付いてるよ〜?」

真純が哲平の顔に付いたご飯粒を摘まんでパクリと食べてそれを見て哲平が照れ笑いをした

ガタン!

紫が急に立ち上がった

「紫、どうしたの?」

「ぼ、ぼく、かっ、かえる」

紫は小刻みに震えていた

「紫?帰るって?」

「何言ってるの?紫の家は、ここだよ?」

スバルと健人も紫の急な態度に戸惑った

「さっ、さくらせんせえのとこに、かえる!」

ハルカは何が紫を不安にさせたのか考えた

「紫、どうしたの?何でそんな事…?」

真純が伸ばした手を紫は振り払った

「いやっ!おばあちゃん、きらいっ!」

「ゆかりっ!?」

「っ!ゲホッ!ゴホッ!」

強く咳き込む紫の呼吸にヒューヒューと音がする

「紫!」

ハルカが紫を抱き抱えると健人が紫のポケットから吸入器を出して紫の口に宛がった

「紫、落ち着いて、ゆっくり息をするんだよ?」

皆が心配そうに見守る中ハルカは紫に声を掛けながら優しく背中を擦った

紫の呼吸が落ち着いてくると哲平が傍に寄り紫の頭を撫でた

「ゆかり、大丈夫?」

だが紫は何も応えずハルカの胸に顔を埋めた

「少し紫を、部屋で休ませるよ。皆は食事を続けて、ね?」

健人はハルカの言葉に頷き哲平に微笑みかけながら

「紫の事は、ママに委せて、ご飯食べよう」

と言った

「パパ、ゆかりは、いい子なんだよ?」

おばあちゃんにあんな態度を取るなんてどうしちゃったんだろう?

「うん、解ってるよ、哲平」

健人は哲平の肩を引き寄せ自分に凭れかけさせ頭を撫でた

つづく